消えぬ戦火 プロローグ part3

 幹線道路がせり上がり最強の盾となり、あらゆる場所から姿を現した砲台は最強の矛となる。警報が発令されて30秒足らずの早業。さすがは帝都である。
「非常時には防壁の非常通路から入るように言われていたな。」
防壁の根元に備え付けられた扉を開け、中に入る。帝都の地下には、地下交通網を縫うように非常用のリニアキャリアーが張り巡らされている。
「セクター3の…司令室…っと。」
タッチパネルに目的地と暗証番号を入力すると、リニアキャリアーは1分もかからずに目当ての場所へ運んでくれた。
「お久しぶりです、司令。例の"人類の希望"とやらを持ってきましたよ。」
「おお、来たか。待っていたぞ。」
「これがその設計図です。」
俺は持っていたアタッシェケースを差し出す。
「では、早速取り掛かってくれないか、博士。」
「お安い御用。」
博士はケースを受け取ると、上機嫌で司令室を後にした。